住所 茨城県水戸市見川2267-3
電話番号 029-241-1330
営業時間 11:00 ~ 15:00/18:00 ~ 21:00
定休日 月・木曜日
駐車スペース 有
https://twitter.com/menittyoku
こくまくくぅ「導入部は、前回の喜元門のラストからの引き継ぎか?」
人形くくぅ「
日曜日には、喜元門もここ一直も、ご夫婦らしき方を中心に、年配のお客さんたちが目立って多い感じだ。平日だと、年配のサラリーマンや仕事人の方々が多い感じだ。えるびすや華丸でもそんな感じかな。」
こくまくくぅ「もちろん、あらゆる層がいるけど、わりと、落ち着いた年齢層も目立つ。だいたい、若者ターゲットの店は、ランキング上位になる感じだ。でも、これからは、舌の肥えた年配層を虜にする本格店が勝負どころだろうから、ランキングはあまり参考にならない感じもする。」
こくまくくぅ「平均的な人たちが平均的にいいって言っていることの肯定なだけだしね、そもそもランキングは。それが必ずしもいいものである保証なわけではない・・・」
エアー・K「
ま、そうおっしゃらずに・・・」
人形くくぅ「
あれ? 気がつくと、どこからともなく子供が忽然とあらわれて、われらのテーブル席の横に立っている!」
エアー・K「
ふんふん~♪」
こくまくくぅ「あ、鼻歌まじりで、そのまま、われらのテーブル席に座った!」
エアー・K「
ふんふん~♪ 失礼しますよ。」
人形くくぅ「
なんだ、まるで、不思議な物語の冒頭みたいじゃあないか。」
こくまくくぅ「たいてい、こんな、唐突な出だしだ。」
エアー・K「
ここに座ってもよろしいでしょうか?」
人形くくぅ「
って、もう座っているし・・・」
エアー・K「
でーあいーはー、スローモーション~♪」
こくまくくぅ「へんな歌を口ずさんでいるぞ。」
人形くくぅ「
新種のアトラクションだろうか。」
こくまくくぅ「チップでも渡せばいいのか・・・」
エアー・K「
袖触れ合うも他生の縁と申します・・・」
人形くくぅ「
おかしいでしょ、ここは君の席じゃあ・・・」
エアー・K「
いえ! いいんです! エアー・K、と申します。」
こくまくくぅ「また、派手な名前だなあ。迷子なのかなあ・・・、無下にもできないし・・・」
人形くくぅ「
・・・これはアメージング・ストーリーなのか?」
エアー・K「
物語、とはなんでしょう?」
こくまくくぅ「え?」
エアー・K「
物語です。物語とは、秩序だったストーリーです。秩序だった、筋の展開⇒目的地、という、説話論的な持続の形式なわけです。」
人形くくぅ「
はあ・・・」
エアー・K「
そうした形式(枠組み)で、人生や歴史の出来事を、整理して、統一的なまとまりへと回収する、のです。」
こくまくくぅ「そうだな。共有できる、公認の語り、をつくりあげて、秩序だった合意を形成するわけだ。」
エアー・K「
そうです。他方で、個人の思い入れは、というか、個々の主体の欲望は、そうした物語とは、必ずしも両立しません。支配的な公的物語を受け入れたうえで、あえて、また別の物語を作ったりします。」
人形くくぅ「
でも、それも、結局、物語だ。反抗の物語とか・・・。」
エアー・K「
その通り。だから、説話論的な持続に抗うような、あるいは、無関係なような、断片的なもの、への注意や固着を、欲望はもたらすようになります。」
こくまくくぅ「なるほど。ま、無意味なものへの執着とかね。」
エアー・K「
外からの説明(物語化)を必要としない、断片的なものに、意味がそれ自体においてあるかのように見えてくること、が、欲望の効果です。」
人形くくぅ「
確かに、欲望の対象はとらえにくい。」
エアー・K「
つまり、主体性の空虚を埋め合わせるための、その相関物は、公の物語空間にはない。」
こくまくくぅ「非公認の何かしかない、わけだ。」
人形くくぅ「
だから、非公認キャラがウケるのか! きゃっは~」
エアー・K「
常軌を逸した対象への、常軌を逸した執着、であればあるほど、本当の自分に相関するものとして、欲望の対象となりる。」
こくまくくぅ「うん。」
エアー・K「
だから、結局、社会的機構からの諸要求は、そうした無意味な細部へと、人が固着しすぎないこと、なわけです。」
人形くくぅ「
酔狂への執着もほどほどに・・・と。」
エアー・K「
では、なぜ、そうなるのか?」
こくまくくぅ「というと・・・」
エアー・K「
物語とは、要するに、万人向けの客観的な世界観、です。それは、偏った主観的な視点を排した、ものです。つまり、完全に部外者の、完全に傍観者の、空っぽの視点、であるほど、万人に共有されるわけです。だから、主体の欲望とは、そうした、空虚な視点たる主体性にこそ、対応しているわけなのです。」
人形くくぅ「
公の空間では、自分を空っぽにしているわけだ。」
こくまくくぅ「その補完的な、穴埋め作業が、欲望なのか。」
エアー・K「
大枠の客観的世界から、漏れ堕ちるような、取るに足らぬ細部に、興味や関心を示すことこそ、欲望です。」
人形くくぅ「
マニアックな世界は、日常的な見方からは過剰な、細部への固執だ。」
エアー・K「
共有物である物語の普遍的妥当性、を、いかに、精妙に裏切るか、が、文学の言葉であったり、科学の難解な言葉であったりする、のも、そうしたわけです。」
こくまくくぅ「なるほど。で、この不可解なアメージング・ストーリーの終わりは?」
人形くくぅ「
突飛などんでん返し、だ。そうした物語は、意外な結末、に決まっている。・・・あ、わかったぞ。エアーK、架空の子供だ! よく見たら、子供の顔は、お面じゃあないか!」
こくまくくぅ「あ、お面をはずしている! その下は、・・・はっ、ミニくくぅだ!」
人形くくぅ「
なんだ、すっかりだまされたよ・・・、ははははは。」
ラーメン 650円
こくまくくぅ「今日は、1時30分くらいのラーメン。やはり、朝一より、スープ感は、こってりし、生姜の香りもやや強い。時間帯によるスープ状態の変化は、多少あるよう、かな。これはこれで、うまい。ガツンとくる、というか。」
人形くくぅ「
朝一は、すがすがしい感じだ(笑)。午後は手練れのようになってくる、かな。どちらも、食べたい、ところだ。」
こくまくくぅ「さて、どうも、一直の記事には、豚清湯スープくくりで、一品香(栃木県)の名前がよく出てくるので、そろそろ、行ってみようか(笑)。まあ、冬の間は、雪が嫌なので内陸にはあまり行かないんだけど、そろそろ暖かくなってきたし。佐野系なのかな。ここのところ白河や佐野などの手打ち系にあまり興味がなくなっているのでなんとなく、二の足を踏んでたんだけど。みんないいって言ってるし。」
人形くくぅ「
遠いし。行きにくいんだよね。でも、評判はいいようだ。」
こくまくくぅ「まあ、すでに、この一直の、精度の高い豚清湯なので、つけ麺もない、田舎っぽい雰囲気がなあ、というところでもあるんだけど、どうも、白河や喜多方でも、つけ麺がないことが、やはり、ラーメンにも、ある種の足りなさ、の烙印となっている気がする。ラーメンとつけ麺の同時進行は、意外と、つくり、の上で、感性的に、スタイリッシュな側面に重大な影響があると思うんだけどね。最近、素朴なノリがなんとなく苦手でね。」
人形くくぅ「
まあ、つけ麺とラーメンのワンセットが、一番よくわかるパターンだ。ここや、ことぶきや(水戸)やとみ田みたいに。東京だと、当たり前の感じなんだけど、地方ではつけ麺は、いまひとつ、のようだよね。」
こくまくくぅ「まあ、でも、天高盛(喜多方)の例もある。天高盛も、上のような私的な思い込みで、つけ麺もない、喜多方をずいぶん長い間はずしてたんだけど、その間に、見落としてしまった、驚愕店だった。まあ、ついで、と言っちゃあなんだけど、肉感で食べさせる天高盛の肉そば形式は、自分の中では、一直と結びついて、ここが、チャーシューでなく、この肉感形式をやったら、かなり、衝撃的ヒットになるのではないか、と妄想しているので、ちょっと挙げておこうか。↓写真。」
ミニくくぅメモ「一日50食しか作らない、ので、11時開店なのに、人が並んでると10時30分くらいに開店し、なんと、11時ちょいくらいには閉店してしまうのも目撃した、驚異の店だ。無化調で、最低限の味つけが絶品なんだけど、味が薄いことでも驚異的かもしれない。そのため、開店当初は、こんな味のないもの食えるか、と言って帰った客が続出だったそうだ。しかし、肉や麺など、素材のうまみを存分に活かし切った味わいは天才的なので、理解あるファンを確実に増やしている模様。理解できそうな人だけ、直行すべき名店だ。」
こくまくくぅ「まあ、一直は、普通にチャーシュー、という、ラーメンの形式美へのこだわりもあるかもしれない。しかし、近年、
肉、のつかみ、で、食べさせる店は強い。ラーメンのうまい店がある、と言うより、すごくうまい肉そばの店がある、と言われると、俄然興味深くならないだろうか。」
人形くくぅ「
なります(笑)。肉がすごくうまい、は、引き、だ。人が集まるよねえ。」
こくまくくぅ「最近、こてこて白湯の活龍も、なんと、清湯で勝負に打って出た、らしい。喜元門も直火焼きチャーシューメンを出す。活龍の清湯には腕肉チャーシューとのこと。確か、直火焼き、も腕肉だ。おもしろいことになってきた。肉ブームになるかも。」
人形くくぅ「
今や、いよいよ、清湯肉そば、か、というところだ。」
こくまくくぅ「まあ、とにかく、一直のスープや麺は素朴派ではない。スタイリッシュな極めつけのような洗練されたスープと麺だ。これは、もう、文句ないだろう。ただ、チャーシューは、それに比べると、やや、普通においしい、だ。バランス的にそれでいいのかもしれないけど、これで、肉が爆発したら、ヤバい、だろう。」
人形くくぅ「
まあ、スープも麺も、まだ、時間か日かわからないけど、多少のブレがある。高水準の上でだけど。でも、スープは、いつでもうまいけど。通底するとろっとしたうまみ感がすごい。」
こくまくくぅ「ここの自家製麺は、食感が、ここのところで、ぐっとよくなった。前回がよく、今日もいい。熟成感かな、ねっちりしている。」
人形くくぅ「
微妙な醗酵的なにおい、もあるかも。」
こくまくくぅ「最初、麺の表面にだけ、スープがしっとりと滲みている。それが、チュルッとしているんだけど、その内側の芯部は、ふがっとした感じ。この複数層を噛みしだく時の、弾力的抵抗感の深い満足感が魅力だ。」
人形くくぅ「
この噛み応えの深い弾力が、高い満足感を生み出す感じが、最高潮かもね。」
こくまくくぅ「この芯部がふがっとするような感じは、日和田製麺所(郡山)やくさび(郡山)などの、自家製麺にも似た食感がある。ちょっと独特に気持ちいいうまい感触なのだ。そっくり、ではないけど。」
人形くくぅ「
自家製麺に特徴的な触感のいいところをびしっとキメている。このシャープさは手打ち麺にはないんだよね。」
こくまくくぅ「麺がスープを吸って仕上がり、完成するので、スープとの相性の詰めももちろん、さすが、の感じだ。スープと麺の歩み寄りで作らないと、できないだろう味わいだ。」
人形くくぅ「
切り離せない車輪の両輪だ。」
こくまくくぅ「肩ロース肉のチャーシューもやわらかく、しっとりしていて、ウマくなっている。ここ数回でも微妙に違うかな。チャーシューという美学もわかるんだけど、最近、スープに溶けだす三枚肉の肉感のよさもあらためて流行ってきている感じだ。そこに合わせた豚清湯に、その肉感、もここが手掛けたらすごそうだ。」
人形くくぅ「
めちゃめちゃウマい、モノができそうだよね。メンマもうまい。ネギもうまい。シンプルな構成は極上だ。」
つけそば醤油 700円
こくまくくぅ「まあ、とにかく、今や、つけ麺の感性はラーメンに、必要不可欠だろう。ラーメンとつけ麺のコンビネーションがあるかどうかは、一つの目安だ。もちろん、そこに十分に自覚的なので、表の看板のようになっているはずだ。」
人形くくぅ「
自家製麺とね。」
こくまくくぅ「自家製麺は、はじまって1年くらいになる。実を言って、ここの自家製麺は、当初からうまいし、それ以上にポテンシャルの引きが期待できているんだけど、正直、いろんな意味で、ちょっとだけ、かたさがある、気もしていた。トータルでうまい中での話だ。でも、ここに来て、それがとれたかもなあ。」
人形くくぅ「
鶏清湯は、細麺だったから、また違って、あれは、パーフェクトな感じだった。」
こくまくくぅ「豚清湯ラーメンの中太麺がよくなったのと同じくして、この、つけそばの太麺も、しなやかぬっちり感が増して、ぐっとよくなった。ここ数回でせり上がった感じだ。味も、シンプルに穏やかになったような。」
人形くくぅ「
くどさが消えて、しなやかな弾力感になった。」
こくまくくぅ「結局、つけ麺は、特に、麺を噛んでいる時の感触の満足感の高さが、決め手だろう。その最大値をはじき出しつつある。たとえば、道(亀有)やことぶきや(水戸)もとみ田(松戸)も活龍(つくば)もそうだ。周囲から徐々に未知の核心を攻めて、その絶品の感触ポイントの範囲を狭めつつある感じだ。弾力が深いのだ。そこが、勝負どころだろう。これは、製麺所の麺では知らない食感だ。自家製麺店が、日々、手探りで、正確無比に追いつめている感じだ。」
人形くくぅ「
そこがなにより醍醐味だ。太さも、極太でなく、中太になってきている。そのしなやかな弾力が、肥えたあごに、強烈なインパクトを与えているのだ。」
こくまくくぅ「あとは、つけダレだけど、これも、申し分ない、パンチのあるうまさだ。」
人形くくぅ「
つけダレと麺を別々に考える店はやはり、弱い。有機的なすり合わせが不足する。」
こくまくくぅ「つけダレは、甘さが強烈だ。たぶん、経験的に思うに、清湯で甘くないと、冷えてきた時に残飯めいてくるんだよねえ(笑)。言葉は悪いけど、冷えた残りもの、みたいな雰囲気になりがちというか。ところが、甘いタイプだと、ゴージャス感が持続する。ダレないし、味わいも優雅さが保てる感じだ。」
人形くくぅ「
途中での温め直しはよくないね。熱⇒冷の間をゴージャスに魅せる、ことこそ、技術、だし、つけ麺のうまさだ。」
こくまくくぅ「ずっと、熱くても気持ち悪い。だんだん冷えながら、ちょうどいい落としどころをもって冷えて終わるのが美しい。少々衝撃的なほど甘いけど、これは、うまさのテクニックだ。最後まで、ちゃんとうまい。」
人形くくぅ「
一度クセになると、甘さがたまらないしね。また、ひき肉入りの豚清湯にすごく合っているし。」
こくまくくぅ「この、ラーメンとつけそばの相互関係も味わいだ。感性領域が違ってくる。これ、食べ手も、同時進行だと思うけどね。」