住所 茨城県水戸市千波町2806
電話番号 029-241-7242
営業時間 11:00-15:00/17:30-22:30
定休日 第2、第3月曜日
喫煙 可
こくまくくぅ「一声二容姿、という。見た目も大事だけど、人を惹きつけるのは、思いのほか、目に見えるもの以上の何か、であり、それを不定形の声がよくあらわしている、というわけだ。外見は、意識(知性)にはたらきかける、けど、声は、もっと奥底に響き、心に訴えかけてくる、のであって、いわば、無意識にはたらきかけてくる。すぐれた俳優は皆、声の使い手だ。」
くま王うくく「
松任谷由美さんや桑田圭介さんの声などは、まさに、そんな感じだ。すぐれた歌手も、みんな、何よりも声、なわけだ。」
こくまくくぅ「あるいは、ミッキー・マウスのあの恐ろしげな声を思い出すのがいいだろう。」
くま王うくく「
ドナルド・ダックもね。」
こくまくくぅ「あれは、かわいい、というより、どちらかといえば、むしろ不気味な声だ。それは、夢のような効果で、もう一つの別の世界を喚起する。ラーメンは、味よりも香りに、より、そうした無意識にはたらきかける効果があると思うけど、それよりも、そもそも、ラーメン自体が、そういう魅惑物体なのかもしれない。」
くま王うくく「
ラーメンそのものにそういう魅力があるわけで、他の食べ物とはちょっと違う。」
こくまくくぅ「魅惑の一つは、屋台にある、かもしれない。まさに、夜空に響く、あのチャルメラの音、が喚起する、別世界的な魅力だ。夜闇に仄明るく浮かび上がる、幻影のような屋台の形象。」
くま王うくく「
夜鳴きそば、だね。あの不可思議なメロディに、夜の巷の、幻惑的な、郷愁をそそるような光景だ。」
こくまくくぅ「わりと、原風景のように、人々の心中に焼き付いている、蠱惑的な別世界のイメージなわけだ。たぶん、ラーメンは、味だけではなく、こうした付随的な諸イメージによっても人を惹きつけている。」
くま王うくく「
最低限の持ち合わせで作られる簡素な物売りの料理、という懐かしさ。担担麺は、担いで売る、という意味だ。」
こくまくくぅ「だから、ヒットする店は、単に、味がいい、というだけでは足りない。無意識にはたらきかける力、が、思いのほか重要だ。」
くま王うくく「
ラーメンにしても、店舗にしても。見かけ以上の何かが、案外重要なわけだ。その風合いをはずしてはならない。」
こくまくくぅ「二郎、なんかは、その好例だろう。二郎は何より、何らかの郷愁が、強烈に無意識にはたらきかけてくる。」
くま王うくく「
もちろん、ここ、えるびすも、という、はこびなわけですね。無意識的な情緒に作用する。煙草や酒がやめられないのもそうした理由によるのだろう。」
こくまくくぅ「意識的な、表面的なものの及ぼす力は、むしろ、ごくわずかなのかもしれない。だから、表面的な皮相な、他愛のない健康生活など、顧みないわけだ。」
くま王うくく「
駄洒落を好むのもそうした理由による。表面的な字義通りの言葉の意味だけでは、たいくつなのだ。ずらさないと気が済まない。」
こくまくくぅ「さて、そうした屋台のイメージと連動しているのが、いわば、錬金術への憧れだ。超簡素な素材で、夢のようなごちそうをつくる、というわけだ。錬金術とは、鉛から金をつくりだす、という魔法なわけだけど、つまりは、現実から、別世界をつくりあげる、ということだ。」
くま王うくく「
意識的な世界から、もう一つの無意識的な世界へスライドしようとするわけだ。」
こくまくくぅ「手持ちの、ありふれた、シンプルな素材が、錬金術的な、夢のような化体を被って、ごちそうとなる。」
くま王うくく「
マジック、という名の、創意工夫、だ。」
こくまくくぅ「だから、高級素材を使って、うまいラーメンをつくる、ではだめなのだ。ラーメン・スピリットがない。何よりも、人々の関心を惹きつける、腕の見せ所、は、やすいもので、いかに、うまいものをつくりだすか、なのだ。」
くま王うくく「
フカヒレやビーフステーキやカニなどを載せちぁあ駄目だ。素朴な錬金術への憧れを理解していない。既成の価値概念に頼っているだけだし。」
こくまくくぅ「安いものから、真逆の最高峰をつくるのが、骨子だ。金を横移動して持ってきて、すごいでしょ、と言ったって、その運び手がすごいわけではない。錬金術とは、嘘のような機能美への期待だ。ラーメンにあるのは、そうした、暗がりの薄明りのもとでつくられる錬金術の興奮だ。」
くま王うくく「
ノスタルジーをおびた、原初的な、原風景的な興奮、だね。」


塩ラーメン こってり 600円
こくまくくぅ「さて、今日は、塩ラーメンを食べようと思って来たんだけど、どうも、この間いただいた醤油ラーメンこってりのうまさが、頭から離れない。醤油ラーメンには、あっさりとこってりの選択があるけど、塩ラーメンは、ただ塩ラーメンとのみ、メニュー表記があるだけだ。で、無理を言って、塩ラーメンのこってり、もできるかどうか、お店の方にたずねてみると、なんと、できるとのこと。やったね、と言う感じだ。ありがとうございます。」
くま王うくく「
油多めと背脂入りの、どちらかを訊かれた。もちろん、背脂入りでお願いした。」
こくまくくぅ「出てきた商品がこちらです。どうですか、胸がときめきますなあ。」
くま王うくく「
にわかにお願いした特注なのに、盛りつけもきれいで、堂に入っているなあ。見栄えも冴えがあり、さすがだ。」
こくまくくぅ「惜しげない背脂量は、もはや感動的だ。ワカメの黒緑も、カイワレの明るい緑も効いている。絶品バラ・ロール・チャーシューもうまそうに載っている。」
くま王うくく「
おや、この白いものは、卵ではありあせん・・・これは、おまけの餃子のようだ。ありがとうございます。醤油こってりには煮玉子が入っていたけど、こちらは美意識で煮玉子は載せないようだ。」
こくまくくぅ「ワカメは、見た目もきれいだし、食べても、合っていてうまい。塩ラーメンなどにワカメや岩海苔類が載ることがあるけど、わりと、神経過敏になるところだ。味はさておき、見た目のカッコつけだけで載せている店が、けっこう多くて気に障る。単にやるだけでなく食感、味ともにちょうどいい感じがほしい。」
くま王うくく「
うるさい感じも多い。もちろん、ここは上手だ。ラーメンのじゃまをせず、うまい味わいにうまく参加している。」
こくまくくぅ「とにかく、うまうまの、上質な背脂のふんだんな量がうれしい。くどさはない。上品な、あっさりしたあまみがある。そして、下のスープも、ぎりっとした塩味というタイプではなく、むしろほんのりあまい風味で、この両者の合流により、えもいわれぬ、まろやかなあまさを演出している。」
くま王うくく「
とろけるようなマイルドな味わいで、クリーミーなポタージュスープみたいだ。これ、ハマるなあ。」
こくまくくぅ「急につくってもらったのに、なんだろう、このこなれた味わいは。これ、メニューにないなんてね。定番でもいい気がするけどなあ。」
くま王うくく「
調理の妙があるよねえ。よくできている、さすがという感じだ。」
こくまくくぅ「こってり醤油が好きな人なら、これもイケるはずだ。背脂の塩味は、わりとあまりないしね。特にこんなにたっぷりとかかっているのは。豚骨塩だとあったりするけど。これ気に入ったなあ。また食べたい。」
くま王うくく「
細麺もいい。オーソドクスなタイプがほっとするような。醤油スープだと麺が茶色っぽく染まっているけど、これは、白くて、まるで別の麺みたいにも見える。心なしか、食感も変わるような。」
こくまくくぅ「背脂と麺の組み合わさる感じがいいんだよねえ。具材も然り。
この前は、餃子は、もう少し具が少なめな気がしたが、今日は太っているなあ。」
くま王うくく「
潜在的なメニューなのに、この、内側から輝くようなオーラ。あまいうまみが抜群だ。流行り廃りとは関係ないなあ。」


スタミナラーメン ホット 650円
こくまくくぅ「ここのところ、続けて食べている、スタミナ・ホットだ。季節がらか、冷やしより、ホットにハマっている。この重奏決定された醤油味の重厚なパンチ力に抗えないなあ、という感じだ。」
くま王うくく「
なんでもないようなんだけど、この醤油味、凄いと思うなあ。たぶん替えが効かないと思う。」
こくまくくぅ「そうそうないね。こなれているし、練り上げられいる。厚みがある。醤油だから、ああ、醤油味だ、と簡単に思ってしまう、けど、されど醤油味、という、唯一無二の完成度の高い、醤油味の妙だ。」
くま王うくく「
けっこう独自の醤油世界だよね。」
こくまくくぅ「味の構成もいいし、それに、やっぱりフィーリングというか、センスというか、つくりてのノりも味の重要な決め手のはずだ。」
くま王うくく「
店舗を含め、あらゆる要素が下支えしているだろう。精妙な錬金術だからね。細部がすこし狂うだけで、鉛は金にはならなくなる。」
こくまくくぅ「そう思わせる味だ。ご当地ものは当地で食べないとうまくないのと同じだ。」
くま王うくく「
単にレシピには還元できない。作る人が変わると味は素直に変わる。」
こくまくくぅ「人ガラ、か。」
くま王うくく「
これ、黒色の醤油味スープの傑作だろう。ご当地もの、でなくて、ラーメンとして考えたい。」
こくまくくぅ「じゅらく(郡山)の野菜ラーメンも、黒い醤油ラーメンの傑作だったなあ。」
くま王うくく「
醤油感のごり押しでは、こちらが勝っている。どうしたらこんなに強い風合いにできるのか、という強力な醤油味だ。そうそう出せなそうだ。」
こくまくくぅ「この黒いスープを吸った、もっちり中太緬も素敵だ。このために生まれてきた麺という感じだ。技術力が高い。」