弟子ねずみやま「今でこそ、あしたば(明日葉)は、スーパーで売っているが、」
小ねずみ1「
売っているが!」
小ねずみ2「
売っているが!」
小ねずみ3「
売っているが!」
小ねずみ4「
チュリッター!」
弟子ねずみやま「一昔前には、売っていなかった。わたしは、そうしたずいぶん前から、あしたばを知っている。あしたばの特産地である、伊豆七島出身の人と、知り合いだからである。その人のところに、島から、ちょくちょく送られてくるあしたばを、御裾分けしてもらっていたのだ。まわりで、知る人は、ほとんどいない頃だ。」
小ねずみ1「
ちゅいー、誰も知らない。」
小ねずみ2「
ちゅいー、誰も知らない。」
小ねずみ3「
ちゅいー、誰も知らない。」
小ねずみ4「
ちゅいー、誰も知らない。」
弟子ねずみやま「その人の、決め打ちの食べ方は、この、
あしたば汁、だ。」
小ねずみ1「
そう、汁!」
小ねずみ2「
そう、汁!」
小ねずみ3「
そう、汁!」
小ねずみ4「
そう、汁!」
弟子ねずみやま「なるほど、この汁は、やみつきになるうまさだ。」
小ねずみ1「
おちゅちゅめ!」
小ねずみ2「
おちゅちゅめ!」
小ねずみ3「
おちゅちゅめ!」
小ねずみ4「
おちゅちゅめ!」
弟子ねずみやま「作り方は簡単。鍋にお湯を沸かして、そこに、醤油、適当な大きさに刻んだあしたば、さばの水煮缶を汁ごと全部、を、入れて、少し煮る、だけだ。加えるものは、完全にこれだけ、だ。要するに、あしたばとさば缶のだし、だけで、十二分にうまい、のだ。」
小ねずみ1「
うまい!」
小ねずみ2「
うまい!」
小ねずみ3「
うまい!」
小ねずみ4「
うまい!」
弟子ねずみやま「いかにも、からだによさそうな、少し苦いような味わい、なんだけど、そこがいいのだ。なお、次の日くらいの、少しくたくたに煮えた状態が、またうまい。出来立ての青臭さがなくなって、よりよいかもしれない。」
弟子ねずみやま「汁もの、としていただくのだけれど、今日は、特別に、初めて、そこに、ラーメンの麺をいれて、あしたばラーメン、にしてみた。これも、なかなかいける。」
小ねずみ1「
あしたばラーメン。」
小ねずみ2「
あしたばラーメン。」
小ねずみ3「
あしたばラーメン。」
小ねずみ4「
あしたばラーメン。」
弟子ねずみやま「伊豆七島に旅行した時、宿で、かめの手、と、あしたば、で、お吸い物になっていたなあ。かめの手は、いいだしが出る、珍味だ。もちろん、あの、フジツボの仲間のような、磯の岩にへばりついているやつだ。身は、ウニとカニを合わせたような上品な味がする、高級食材だ。それから、島で、醤油味のあしたばごはんもいただいた。あれもうまかった、ので、何度か自分でも作っている。醤油とお酒で炊いたごはんに、炊きあがりちょっと前に、生のあしたばを投入して蒸らす。これもいける。まあ、あしたばは、普通の青菜のように、どんな食べ方もできる、んだけど、やはり、この汁が、一番いいかなあ、というお気に入りだ。」