住所 茨城県水戸市笠原町884-10
電話番号 非公開
営業時間 昼の部 11:30~14:00/17:30~20:30
定休日 火曜夜の部、水曜
P あり
喫煙 不可
こくまくくぅ「あれ、セルフサービスの水を獲りに行って戻ってきたら、いつのまにか、われらのテーブル席に、子供が座っているぞ。」
人形くくぅ「
あ、もしかして、子供ブロガーか。スマホをいじっている。」
こくまくくぅ「指先でページをめくるような仕種をしているが、でも、手には何も持っていない。素振りだけのエアー・スマホだ。」
人形くくぅ「
あ、ランドセルにスマホをしまっている。ランドセルから帳面を取り出した。」
こくまくくぅ「喜元門ノト、と書いてある表紙をめくったぞ。喜元門のメニューが書き出してある。食べたものに〇がしてあるようだ。ほぼ全部食べていて、〇がいくつも重複してついている。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
・・・いやあ、喜元門を食べ出すと、他の店はもう古くて食べられないなあ。」
人形くくぅ「
生意気なガキだ。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
お静かに。ご声援ありがとう。申し遅れました。ブルーマウンテン・ジョイ、と申します。」
こくまくくぅ「ド派手な名前だな。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
さきほど、エアー、と言いましたね。」
人形くくぅ「
はあ。」
こブルーマウンテン・ジョイ「
それでいいんです。指先でページをめくるように、メディアの形態なんて次々に変わります。」
くまくくぅ「あ、ウマいこと言いやがった! 座布団一枚。」
人形くくぅ「
形態も携帯にかけてあるのか。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
情報など、幽霊みたいなもの、です。傍から見れば、主観的な内容がどうあれ、ただ、操作の姿勢が見えているだけです。」
こくまくくぅ「そりゃそうだ。そんな人ばかり見かける。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
そこです! 昔だったら室内で固定電話の受話器を持って、耳に当てていた。」
人形くくぅ「
わかるようなわからないような。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
結局、われわれがやっていたのは、そんな姿勢ばかりなのです。要するに、イッセー・尾形、みたいなものです。」
こくまくくぅ「パンサー・尾形でないのか。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
ラーメンも一緒です。ラーメンをすする仕種がある、だけで、その内容は、時代とともに変化します。」
人形くくぅ「
なるほど。達観している」
こくまくくぅ「日本中で毎日、そんな仕種の反復があり、国民食、と言われたりする、わけだ。」
人形くくぅ「
仕種だけ見れば同じだ。ある意味、内容なんて、どうでもいい、と。どうせ、主観的印象なんてブラックボックスなんだし。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
よろしい! それが、生活です。実体的内容なんて、はかなく消えてしまう。形式だけが普遍的です。」
こくまくくぅ「ほんとだ。形態だけが浮かびあがってきた。世相なんてそんなものだ。表向きのライフスタイル、だ。」
人形くくぅ「
個人的経験は様々だけど、仕種は共通だ。ライフスタイルを演じているわけだ。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
その通り! 内奥は不均質だけど、形式は均質だ。それが、ラーメンを食べる、ということです。」
こくまくくぅ「うーん。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
内容は、特定の個人に属している。空っぽの形は普遍的なのです。特定の内容から思考を解放すること、それが、ユートピア、です。」
人形くくぅ「
なるほど、ユートピア、とは、どこにもない場所、という意味だ。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
これは、われわれという、空っぽの主体性に対応しています。啓蒙や教育、とは、結局、伝統的な共同体の頑なな心性を取り除いて、近代的な市民という形式へと形式化しようとする、ということです。」
こくまくくぅ「まあ、上辺だけ、市民の見かけを取り繕えばいいわけだ。」
人形くくぅ「
本音より、たて前だ。サンダル履きでホテルやレストランには入れてくれない。人は外見で判断する。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
内容から解放されて、自由に、生き方の形式を選べるのが、近代です。」
こくまくくぅ「職業選択の自由、アンガージュマン(自由な自発的な政治参加)、となるわけだ。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
スマホをいじる姿勢のように、推奨される、模範的なフォーム、というものがあるわけです。何を食べる、とか、どういう車に乗るとか。」
人形くくぅ「
内容はどうでもいい。形、体裁、を整えることが、秩序、だ。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
そこで、喜元門であります!」
こくまくくぅ「そこで、くる!」
人形くくぅ「
あれ? なんか、へんな、聞き覚えのある語尾使いだなあ。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
ラーメンは、流行性差異の刺激的興奮を求めて、の水平運動が飽和して、行き詰っています。」
人形くくぅ「
わかった、ジャンク化の形式だな。すべてを崩しながら差異を求める。」
こくまくくぅ「限定、という形式、行列、という形式、そのものをむしろ消費している。その繰り返しで、中味はあまりない、関係ない。中身は、他店や権威との比較のゲームだ。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
そういった流行性差異のお遊びは限界に達しているので、次のステージは、本物志向に移っているようです。」
人形くくぅ「
ゆるい、おばか、から、タイトな本格志向へと、反転し始めている。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
惰性は続くが、消費されつくされているのです。結局、不動に等しい、どこにも行きつかない水平的な差異化の堂々巡りから、垂直方向の自己充足が、最近のラーメンにはみられるわけです。」
こくまくくぅ「ここ喜元門のように、スタイリッシュな内容を純化していくわけだ。比較のゲームでなく、それ自体での真の変化だ。」
人形くくぅ「
自分自身の資格において、自律的な、強い旨さを実現しようとしている。」
こくまくくぅ「そういう、きらめき(ひらめき)、がある。流行性差異が上手でも、凡店には、きらめきがない。比較論だけだ。」
人形くくぅ「
混ぜそばに、ただ流行りやノリで、生卵をのせたりしちゃう。味の追求ではない。」
ブルーマウンテン・ジョイ「
実は! わたしも、市民のふりをしていますが、このマスクの下は・・・」
こくまくくぅ「あ、なんだ、自分の顔をはがそうとしているぞ! なにしてる、やめろ・・・」
人形くくぅ「
・・・仮面なんだ。つけてるお面をはずしているんだ! 子供じゃない!」
こくまくくぅ「お面の下は・・・、ミニくくぅだ!」
人形くくぅ「
どうりでおかしいと思ったよ。すっかり騙された。ははははは。」
こくまくくぅ「気づかなかったよ、ははははは。」
小皇帝くくぅ「↑ばかばかしいったら・・・・・」
海老まぜそば 塩 直火 740円
こくまくくぅ「店長さんシャッフル期間、となっているらしく、本店の青山店長さんが来ている。久しぶりで懐かしい! 小美玉店、本店で、見知っているけど、相変わらず、笑顔の素敵な男前ぶりで、それにお若いなあ。相変わらずリズミカルな機敏な動きだ。」
人形くくぅ「
モヒカンも健在だ。これも長いぞ。」
こくまくくぅ「喜元門ネットワークは、中心のない、すべての要素が流動的であり、干渉し合いながら撹拌され、再分配される。絶えず新しいものの介入によって、修正が行われるので、固着が意味をもたない。こうしたシステム自体が革命的だけど、ある意味、店長さんにもそれは及んででいるわけし、及んでいくといいのだろう。」
人形くくぅ「
まあ、なので、あまり、個々の場面にかかずらっても仕方ない。さらりと受け流しながら、味わうといいだろうし、また、ディティールがしょっちゅう変わる(笑)、というか、マイナーチェンジがしょっちゅうある(笑)、ので、それしかしようがない。」
こくまくくぅ「なにか、その都度のうまさが脳裏をかすめて、過ぎ去っていく、という感じだ。それに、いろいろ詳しいことはわからない。今回も、青山店長さんが来ているといっても、方法としてスープ作りなどの内実が違うのか、よくわからないし。作り手の違いの微妙なニュアンスなのかどうか、とか、などなど。」
人形くくぅ「
ま、あまり細かいことは、考えても、どうせさほどわからないから、それに、わかったとてどうしょうもないので、小っちゃいことは気にするな、と。」
こくまくくぅ「記憶も当てにならないし、同じ作り手でも日により時間により違う。そう繊細に構えてもしょうがないし、その必要もない。食べ物は、消えものだが、うまいものを食べた時の喜びは、残る。一度ついた客は、ある水準維持で、大筋で裏切りさえしなければ、ずっと覚えていて、通うだろう。」
人形くくぅ「
ただ、きょうのバラロールは、最近のと全然違うなあ。厚く柔らかく、質感が違う。青山店長さんインスパイア、なのかな。バラロールに関しては、喜元門は自分的には、ベストのバラロール、なんだけど、東光台店の森田店長さんので、最初にそう思った。喜乃壺は、それとやや違って、やや硬めだった。本店もよかった。水戸笠原店の去年の今頃は、その中でも、一番よかった。えるびすのバラロールに似た、白っぽくてほんのり甘くてとろけて厚いやつだ。その後、5月くらいに変わってがっかりだった。それきり、あれは、幻だ。」
こくまくくぅ「行列友だちの鉾田のご夫婦さんは、自分でもバラロールを作る人なんだけど、絶賛で、そればかり、食べてたなあ。で、今日のは、その時にやや近い! うまし。これ、いいなあ、やっぱり。質感がちょっとだけ違うかな。それに、直火など、他のもいい! 直火も同じくらい語りたいところだけど、長くなるので。」
人形くくぅ「
あと、この太麺。これも、最近食べたのと違うと思うけど。最近食べたのは、まるかったけど、これ、角ばってるような。それに見た目もだけど、ブリッとした食感も強烈だ。これ、青山店長さん持参?(笑)」
こくまくくぅ「まあ、こんなふうに、変化変化、なので、いちいちの後追いも疲れる(笑)けどね。」
人形くくぅ「
この海老混ぜも、かなり好きだ。森田店長さんのは海老感が、超強烈だった! にがいくらい(笑)で、ガツンとくる品。同じ東光台店の店長さんだったためか、番外編(笑)としては、アンディさんのグリッター初期も、似た感じだった。途中から軽くなり、えび高騰のため後半消え失せた(笑)。」
こくまくくぅ「まあ、だいたい、去年ここでも、海老混ぜは、コンスタントにうまかった。イチオシくらいだ。しょっぱい、という噂もあったけど、今日も同じくらいだな。わりと、ギリっとしている。もちろん、自分は、このくらいでOKだ。多少の塩分ブレは気にしないし。頭の中で、ちょうどいいように誤差を変換して味わい考える。その限りで、十分いつもうまい。たまに、しょっぱい、うすい、もむしろ楽しさだ。いつも完全、でなくてもいいだろう。」
人形くくぅ「
塩気の濃い仙台に比べれば、ましだ(笑)。ぜひ、茨城の人に行ってもらいたい。」
こくまくくぅ「それに、海老感も元に戻ったかな。前回軽くなったように書いたけど、気のせい、かも。撤回。」
人形くくぅ「
それに、海老ラーメンになると、海老油タレが、スープに流れて、軽く、薄く感じるからね。」
こくまくくぅ「海老ラーメンも軽やかでいいんだけど、ダイレクトに海老感が来る、こちらの海老混ぜのインパクトを知っているので、やや物足りなくは感じてしまう。やはり、これだ! 塩でも醤油でもいい。太麺も活きる!」
人形くくぅ「
まあ、森田店長さんのは、海老、煮干し、それに麺、など、すべてにおいて、パワフルで、強烈なパンチがある感じだった。超好き、だけど、一般論としては、どうなんだろう。強すぎるともいえそうな。」
こくまくくぅ「さすがに、つけそばの真空タレに魚醤が入っているのは、すごいな。隣の、遠くから来たらしいライダー男子二人は、顔雄見合わせて、何このニオイ! といぶかしがっていた。魚醤というものを知らなければ、少しいたんでいるのでは? と思いかねない刺激臭のインパクトだったからね。ああ、森田店長さん、魚好き、なんだなあ、と思った。」
人形くくぅ「
帰り道、車に乗ってたら、つくばの店の近くの路上で、なぜか、すれ違って、追い越しざまに唐突に手を振って走り去っていったなあ、あの二人。憶えているかな?」
こくまくくぅ「あ、なんだか、話がものすごく、逸れている。まあ、とにかく、他店にはない、海老感の、そして混ぜそばのうまさだ。」
人形くくぅ「
スープが少し入っているスタイルだ。台湾混ぜも海老混ぜも、メチャうまいし、また、オリジナリティが高い。独自のつけ麺世界を確立している傑作だぞろいだ。真空混ぜがまったりしすぎて、ちょっと?だったけど、もう一度食べてみないと。変わることもあるし。何度食べても確定できない(笑)。」
こくまくくぅ「台湾混ぜは、他店だと、卵黄が載ることが多い感じだが、ここは、絶対にそれをしない! この混ぜそばに生卵、をやらない点で、他店を圧倒的に引き離して、ここは、まぜ麺の、ダントツの一位だ! ちゃんとした、料理の風格がある。ジャンクはもういらないな。生卵載せないともたないなら、本体ダメなんだし。生卵載せるの、ジャンクでわざと頭悪くしてるんだろうけど、もう本当に頭悪いだろ。」
人形くくぅ「
見栄えのキャッチ目的の惰性でなく、それが、完全にいい、時だけ、にしてもらいたい。」
こくまくくぅ「そういえば、混ぜそばに、半熟煮玉子もなくなった。まあ、そもそも、煮玉子も、ラーメンに、もういらないかもなあ。なくても、いっこうにさしつかえない。」
人形くくぅ「
昔、3軒くらい連食して毎度煮卵ついてくると、まじきつい。」
こくまくくぅ「まあ、細部を把握しきれないけど、いつもうまい、という結論でいいでいょう(笑)。」
人形くくぅ「
まぜ麺は、うまい油と少量のスープのシンプルにこなれたうまい味、で、麺も際立ってうまく、まぜ麺というものを、一品料理として洗練させた功績、という感じだ。」
濃厚魚出汁 塩 炭火 760円
こくまくくぅ「さて、この間、濃厚魚出汁の醤油はいただいたばかりだ。で、こちら塩は、また、まるで、趣が違う、、麺もスープ感も違う。」
人形くくぅ「
剛と柔、くらい印象が違う。こちらは、やさしい。」
こくまくくぅ「ちょっと、大げさに言えば、お吸い物、とか、甘味処のお雑煮、とか、を想わせるような、和風テイストの品のいいうまみのラーメンかな。麺も極細麺で、ちょっと、そばを思わせるよう、でもある。もちろん、和風でも、そばでもなく、ラーメンだけどね。」
人形くくぅ「
勇(町田)を思い出すかもね。もっとシンプルだけど。店主さんは寿司職人出だったかな? 当時石神秀幸氏が絶賛してたなあ。確か、自分の全ランキングでも上位だったような。もろに、和風テイストで、おすまし感覚だ。」
こくまくくぅ「麺も、こんな感じで淡白な細麺だ。冷麦に似たような。石神秀幸氏、詳しくは知らないけど、もしかしたら、なんか、あっさり系が基本好きみたいだよねえ。」
人形くくぅ「
うちは、なんでもござれだ。どっちでもいい。」
こくまくくぅ「そのころ、ひところ、和風流行って、でももう、油浮きなしのめんつゆみたいになると、たいてい好きじゃあないけどね(笑)。西荻窪に、油浮きのない和風で、創やとかはしご(だったかな?)とかあったなあ。まあ、そうした、ラーメンからすると、格段に新しけどね、喜元門は。おいしいとかどうとかより、質的に違うし、斬新だ。」
人形くくぅ「
まあ、醤油に比べれば、あっさり、軽やか、かもしれないけど、これ自体はしっかりした味わいだ。魚油みたいなのが少ないのかな。」
こくまくくぅ「あれは甘味処なのかな、京ラーメンンの、はないちもんめ、みたいな和風なのではない。」
人形くくぅ「
極細麺が、ここ何回かいただいたけど、たおやかなしなやかな弾力でうまいんだけど、前半、にもう少しコリコリしたかたさもほしいような。私的には。」
こくまくくぅ「喜乃壺のバキバキというかポキポキの極細麺ねえ、あるといいなあ。」
人形くくぅ「
喜元門は、塩と醤油でがらりと変わるよね。麺も違うしスープ感も違う。これがなかなか把握しきれない要因だ。」
こくまくくぅ「同じスープの味違いツー・バージョンでなくて、二つ違うラーメンというくらいの感覚、だからね。この、塩と醤油でも、分化、増殖していく感じがすごい。些末的な味が濃いとか薄いとか、ある意味どうでもいい。それも含めて、すでに、多様性に開かれている。複数の料理人のニュアンスの違いも含め、増殖するわけだ。むしろ、それ自体が圧倒的だ。」
人形くくぅ「
ある程度限られた要素でも、かなり表情の違うものを作る能力が高い。」
こくまくくぅ「一つ一つのラーメンを精巧に仕上げるし、また、ブレンド、アレンジする能力もすごく高い。食べ比べるとよく体感できる。」
人形くくぅ「
プロっぽい。巨大な実験工房でもある。」
こくまくくぅ「たった一杯のラーメン作るだけでも、そうそうまともにできない、のに、幾種類も、スープも麺も変えて、取り揃えた才能はすごいよね。どれも、粒ぞろいだ。スープ間ブレンドしても、冴えが落ちない。こんな店、たぶんほかにない、だろう。」
人形くくぅ「
ある意味、ちょっとの手間で、劇的にうまくなる技法を手中に収めているよね。それをメニューの数だけ表現できているすごさだ。」
こくまくくぅ「麺、スープ、チャーシュー、それぞれ手法自体が完全に新しいしね。」